テトラポッドの形状の美しさは、「正四面体」に由来するものがあると思います。
(テトラポッドの腕の先を頂点にすると、正四面体になります。)
実際、テトラ模型作りの際に正四面体やその角を落とした切頂四面体をよく使っています。
正四面体は正三角形を4枚(切頂四面体は正6角形 を4枚)張り合わせるだけで簡単に作る事が出来ます。
しかし、その面がつくる角度は何度なのか? 常々疑問に思っていました。
切頂四面体の斜めに切った断面が正三角形なので、60度より大きいことはわかります。
「二面角 約70.528779度」というのがそれです。
同様に、テトラポッドの腕の角度も真上からみれば120度ですが、、、
2本の腕が、同一平面上でつくる角度は120度より小さくなるはずです。
この角度は「中心と頂点を結ぶ直線のなす角 約109.471221度」として載っています。
どうやら、(180度 - 二面角)の関係の様です。
今回はこの角度について考えてみましょう。
図のような正四面体ABCD について考えます。
正四面体の中心(重心)は、1つの頂点と、その対面する面の重心を結ぶ線が交差する点です。
ここで、三角形DCB の重心H と頂点A を結ぶ線AH、三角形ACB の重心F と頂点D を結ぶ線DF が交差する点G が、正四面体ABCD の重心になります。
三角形ADE に注目します。
これは、正四面体を中央で2つに切った断面になります。
このとき、∠AED が「二面角」、∠AGD が「中心と頂点を結ぶ直線のなす角」に対応しています。
三角形AEH と三角形AGF が相似形となっていることから、∠AEH = ∠AGF となります。
よって、(180度 - 二面角) = 「中心と頂点を結ぶ直線のなす角」
の関係が成り立っていることがわかります。
AE は三角形ABC の高さであり、F が重心であることから、
AF:FE =2:1 の関係が成り立ちます。
また、AE = DE であり、DH:HE も2:1 となります。
∠AED をθとすると、
Cos θ= HE/AE = 1/3
逆関数(アークコサイン)を使って角度を求めると、
ArcCos(1/3) = 1.23095942 [rad] = 70.5287794 [度]
となりました。よって、テトラポッドの腕の角度は、、、
180 - 70.5 = 109.5 [度]
と、導く事が出来ました。
三角関数の計算はGoogle 電卓で可能です。
=== 追記(2011.8.6) ===
Mcguffin さん からのコメント「立方体に内接する正4面体を考えるとわかり易い」を受けて、再度挑戦しました。
立方体に内接するテトラといえば、、、
テトラ消しゴムのパッケージを思い出します。
こんな感じで、座標をとってみました。
一辺が2の立方体と、一辺が2√2 の正四面体。中心は (0,0,0) で共通です。
この座標取りだと、すぐに各辺の長さがわかります。求めたい「中心と頂点を結ぶ直線のなす角」∠COD や、「二面角」∠CED は前回同様、三角関数(の逆関数)で求める事ができます。
半分の角度(∠COF, ∠CEF )を逆正接(アークタンジェント) で求め、2倍するのが分かり易いと思います。
辺CF が√2なので、
atan (sqrt(2)/1) *180 / pi *2 = 109.471221 [度]
atan (sqrt(2)/2) *180 / pi *2 = 70.5287794 [度]
と、計算できました。